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アイマスSS「約束スパイラル」 その4

SS「約束スパイラル」更新です。

・本作品は「アイドルマスター」の二次創作作品です。
・原作とは異なる設定です。
・登場人物の性格に若干の齟齬が生まれているかもです。
・原作の数年後の千早が20才の誕生日の時のお話です。

以上のことに嫌悪感などの不快な感情を抱かない方は、追記から本文をどうぞ。



手首に巻いた腕時計を見ると時刻は約束の30分前、少し早く来すぎてしまったかもしれない。
プロデューサーはいつも仕事の時は5分前か10分前行動を心がけているのでそこも計算して家を出たのだが、それでもちょっぴり早かった。
軽く見積もってもあと20分も待つ計算になるが、まぁ、これは早く来すぎてしまった私の自業自得なのでプロデューサーを責めるのは酷だろう。
私は暇つぶしも兼ねてポーチから手鏡を取り出して、家でセットした髪が乱れていないか確認する。

---なんだか妙な気分だ。
今までずっと歌一筋だった私は、こうして男性と待ち合わせをしたファッションにこだわったりしなかった。
そんな私が今、男性とプライベートで待ち合わせをして、髪がおかしくないか確認して、おまけに必死に勉強したメイクまでしている。
少し前までの、---765プロに入社するまでの私には到底考えられないしありえないと思っていたから、きっとプロデューサーに冷たい目を向けて、「そんなことをしている暇があったらレッスンをすべきでしょう!」などと生意気を言ってプロデューサーを非難していただろう。
あの人、プロデューサーが間違ったことを言うはずはないのに。

・・・そういえば、今日のことで一番羨しがっていたのは春香だったけど、一番喜んでくれていたのも春香だった。
今日までは大変だった、ファッション誌を見つけるたびに私のところに持ってきて「こんなのどう?」って聞いてきたり、私がメイクをしていると心配そうに私の周りをグルグルグルグル歩き回ったり、気が散って仕方なかった。
それで春香がわたわたわたわたばっかりしているからみんなも集まってきてしまって、アドバイスだったり揶揄を言ってきたりで大変だった。

そろそろプロデューサーが来ないかと周りを見渡してみるが、道行く人はみんな見知らぬ人ばかり。
自分で言うのもどうかと思うのだが、私を765プロダクションのトップアイドル「如月千早」だと気づく人は誰もいない。
普段なら人が集まってしまってこんな分に一箇所にとどまることなど到底無理だが、今の私は普段とは違い、いつもより幾分か派手な服を着ているし、髪型も束ねてポニーテイルにして尚且つ一応返送としてメガネもしている。
ちなみに髪型とメガネをかけるのは律子のアイディアだ。

「あれ、もうこんな時間?」

腕に巻かれた時計を再び確認すると時計の針は約束の時間の五分前を差している。
続いて形態電話を取り出してメールを確認してみるが誰からもメールを受信していない。
おかしい、プロデューサーは普段の生活はとってもだらしないが、人と人との約束は大切にする人だ、遅れることはまず無いし、遅れるようなことがあれば必ず連絡をしてくれる。
・・・まぁ、プロデューサーも多忙な人だ、765プロ所属のアイドルも加えて自分のバンドの活動や新しく961プロから移籍してきた2人のプロデュースも請け負っている、やはりプライベートを後回しにせざる得ないだろう。
私は「はぁ」と小さくため息を吐いて携帯電話をポーチにしまい、代わりにプロデューサーから頂いた音楽プレイヤーで時間を潰すことにした。



-------遅い。
気分的に聞きたかった曲を大体聞き終わって時間を見てみると既に30分以上たっているのにも関わらず、相変わらずプロデューサーは来ないどころか、何の連絡もよこさない。
最初のうちは仕事だからしょうがない、と割り切っていたが少しづつ腹がたってきた。
遂に待ちきれなくなった私し携帯電話を取り出して我ながらたどたとしい手つきで新規メール送信画面を呼び出し、時間をかけてプロデューサーに「今、どこにいますか?」とだけ短く打って送信し、再びイヤホンから聴こえてくる音の世界へ没頭する。


--------そして更に30分。
先ほどより30分、待ち合わせ時間からすでに一時間がたった。
私は既に不機嫌をとっくに通り越して怒りで頭の中が真っ白になっている。
よくよく考えたら私はそこそこ寛容な人間ではないだろうか?1時間も待っているなんて。
で、デートじゃないと言ったのは確かに私だけど、それでも普通は時間から送れるなら連絡の一つでもするのが常識というものだろう。
私は最後のチャンスと携帯電話を開いてメールと電話の着信を確認するが相変わらずディスプレイには「新着メッセージはありません」という文字。
私はだんだん馬鹿らしくなって携帯電話を力任せにポーチの叩き込んで、自宅へ帰ろうとした瞬間。

「ごめん、千早お待たせ。」
「・・・すいません、どちら様でしょうか?」

聞きなれた声で自分の名前を呼ばれて、思い切り冷ややかな目を準備して振り返るとそこにはやっぱり見慣れた顔。
彼は心底申し訳なさそうな表情をして私に向かって頭を下げていた。
いつもならその表情ほ見るだけで私は気が緩んで、ちょっと小言を言うだけで私許してしまうのだが今日はそうではなく、私の怒りは収まらないままだ。

「私はあなたのことなんて知りませんから、言われる理由がないのですが?」
「ごめん、今回ばっかりはホントにゴメン!遅れそうになって慌てて連絡しようとしたんだけど、携帯の充電し忘れてて・・・。」
「・・・・・。」

私はプロデューサーの言葉を無視して家への向かってスタスタと歩き出す。
プロデューサーは「ちょっと待って千早!」なんて言いながら私の後ろをついてくるのだが、正直こんな人通りの多いところで大声で人の名前を呼ぶのはやめて欲しい。
プロデューサーはしばらくずっと私に謝っていたが次第に何も言わなくなり、何も言わず私の隣に並んで黙って私についてくるようになった。
しばらく私はプロデューサーと何も言わずに歩いていると、ふとあるお店の前で自然と足が止まった。
曇り一つないショーウィンドウの中には小さくてシンプルな指輪と青いネックレスが輝いている。
どちらもとてもシンプルなデザインのアクセサリーだったが、私は

「・・・なぁ、千早。ホントにゴメン。なんでもするからさ、そろそろ機嫌直してくれよ。」
「なんでも・・・ですか?」

・・・・今、プロデューサーにおねだりすれば買ってもらえるかもしれない。
だがチラリとデザインを見直すとなかなか凝ってるデザインをしているので、恐らく結構な値段するだろう。
以前、たまたま律子から聞いたプロデューサーのお給料ではかなり厳しい値段。
・・・やめよう、こんなプロデューサーの弱みにつけこむような真似。
ならばせめて欲しかったアーティストのアルバムを買ってもらおうと振り返り口を開きかけた瞬間---

「千早、これ欲しいのか?」
「------!!?」

私の顔のすぐ横で同じようにショーウィンドウの中を覗き込んでいたプロデューサーの横顔があった。
あまりにも突然だったので、声もでないほど驚いてかっと顔が熱くなるのを感じる。

「い、いえ別にただ、キレイだなと思って見ていただけですので・・・。」

ふ~ん、とプロデューサーは相変わらず顔が近いままネックレスと指輪をジッと真面目な目つきで見ていると、財布を取り出して中身を確認しはじめた。
改めて近くでプロデューサーの顔を見てみると、決してかっこいい顔つきではないが酷い顔つきでもない。
以前律子が何かの本の言葉を引用して「ジッと見つめていると「ああ、この人でもいいか」と思えてしまうような不思議な顔」と評していたが、私もその通りだと思う。
だが、こうして何かを考えているやオーディションの時のプロデューサーは雰囲気や顔つきがキリッとしてとてもカッコイイ。
プロデューサーは1人で「・・・うん。」と何かを決心したようにうなずくと私に「千早」と話しかけてきた。

「千早、このネックレスと指輪、どっちがほしい?」
「ぷ、プロデューサー!?ですから私は別に欲しいとは思って・・・。」
「そうかな?俺から見たら結構欲しそうな顔してたぜ?」
「で、ですけど、こんな高価そうな物いただけません!」
「どうかいたしましたか?」

店員が店の騒ぎを聞きつけてきたのか、店内から女性の店員が出てきた。
するとプロデューサーはチャンスとばかりに店員さんに「すいません、この・・・。」と言いかけて私の方にチラリと「どっちがいい?」と目配せで聞いてくる。
いつもはオーディションで大いに役に立ってくれるが、今回ばかりはこの特技に後悔した。
もう一度チラリと指輪とネックレスを見る。
デザインは私のイメージカラーであるネックレスのほうがキレイだと思うが、もし、プロデューサーにプレゼントしてもらうならと考えると・・・。
頭の中でグルグルと色んな考えが渦巻いてやっぱり少し恥ずかしいが、こんな高価なものプロデューサーに買ってもらっては悪いし、少し恥ずかしいが店員に「ごめんなさい、何でもないです」と口を開きかけた瞬間、プロデューサーが先に口を開いた。

「すいません、ここに飾ってあるこのネックレスが欲しいんですけど・・・。」
「ぷ、プロデューサー!!?」
「はい、分かりました。それでは少々店内のほうでお待ちいただけますか?」

プロデューサーがはい、と答えると店員は礼をして店内に戻っていった。
驚いて呆然としている私に「いこうか」と言い、私の手を引いてプロデューサーは店内へと入る。

店内に入るとショーケースの中には美しく輝く宝石が綺麗に陳列され、宝石を少しでも輝かしく見せようとちょっと目がチカチカするほど部屋全体が明るくなっていた。
店員も制服をピシッと着込んでおり、態度も礼儀正しくなんだか場違いな場所に来てしまったような気分になる。
中には他にもお客さんが結構いて若い男女のカップルから、中年の夫婦、そしていかにもな有閑マダム風の方もいた。
カウンターまで行くと先ほどの店員が待っており「いらっしゃいませ」といい、持っていた箱の空けながら「こちらの商品でよろしいでしょうか?」と聞いてきた。

「綺麗・・・。」

箱の中のネックレスを見た瞬間、私の口からはそんな言葉が漏れていた。
ディスプレイの中ではよくわからなかったがこうやって間近で見てみると、ツアーの時にみた美しい海のような爽やかな青になっている。
だが、プロデューサーが「お幾らですか?」と聞くと、それほど高くは無いがちょっぴり買うのをためらってしまうような値段が出てきて、プロデューサーになんだか悪い気分になったが、プロデューサーは嫌そうな顔はまったくせず、ためらわず財布からお札を数枚取り出して店員に渡した。



-------数時間後、私とプロデューサーはレストランで夕食を終えた帰り道を車で走っていた。
あの後、プロデューサーと色んな場所に行き、気づいたら時間はもう夜の9時近くになってしまっており、プロデューサーは会社の車ほを借りて、私を家まで送ってくれることになった。

「プロデューサー、今日はとっても楽しかったです。」
「俺もだよ、まぁ、千早がCDショップから動こうとしなかった時には困ったけどな。」
「あの時はすいませんでした・・・。」

プロデューサーはそんな風に冗談言いながら笑っており、私は思わず半分苦笑してしまう。
今、私の手元には自分のポーチと一緒にプロデューサーからプレゼントされたネックレスが握られている。
私はチラっとプロデューサーの横顔を見ると微笑を浮かべながらちょっぴり眠そうにしていた。

「久しぶりに楽しくってはしゃいだら疲れちゃったよ。」
「ふふふ・・・。プロデューサー、子供みたいですね。」
「いやはや、お恥ずかしい・・・。」

プロデューサーと私はそういって一緒に笑った、
だが、そのたびにプレゼントされたネックレスが揺れてなんだかプロデューサーに悪い気分になってしまう。

「あの、プロデューサー。今日はありがとうございました。ネックレス、プレゼントしていただいて。」
「ん、いいよいいよ別に。たまにはさ。」
「ですけど・・・。」
「なぁ、千早。お前昔に比べてずっと雰囲気が柔らかくなったけど、まだまだ硬いな。もっと、甘えていいんだぞ?」
「・・・・。」

車が赤信号になって止まった。
プロデューサーは相変わらず優しそうな微笑を浮かべながら、やさしい声色で私にそう語りかけてきた。

「もっとさ、甘えていいんだよ。お前は今までずっと1人で頑張ってきたんだからさ、もっと今日みたいにわがままいったり、何か物を人にねだったりしていいんだよ。」
「は・・・い・・・。」

「そりゃ、伊織みたいにワガママばっかりじゃこまるけどさ。」と続けていい終えると信号が青になった。
スルスルっと車が動き出し車のオーディオからはこの間リリースした私のカヴァーアルバムの曲が流れている。
プロデューサーの横顔は暗くてよく見えないが、きっと相変わらず笑っているんだろう。
私は目頭が少しづつ熱くなってくるのを感じた。

「だからさ、今日のそのネックレスのことは気にすることは無いよ。」
「はい・・・、ありがとう・・・ございます。」

ああ、もう我慢しきれない。
私の頬を思わず涙が伝って、思わずネックレスの入ったケースをギュッと握り締めた。
それからは車内に一切会話はなく、車の走る音と、オーディオから流れてくる音楽、そして私の泣く声意外は何も聞こえなくなった。



--------これが、プロデューサーが初めて遅刻をして約束を破った一回目の話。
そしてたった今、プロデューサーが現在進行形で約束を破っていた・・・・。
このお話はもう少しだけ続く・・・・。
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このブログは管理人の気の向くままSSを書き散らすブログです。
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現在はアイドルマスターやけいおん!のSSなどを公開しています。

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